個人的に、リンドベリの柄が好きです。何が好きかというと、柄の向こうに人の気配がする感じ、とでもいうか。うまく説明できないんですが、そういうことを少し書きます。
1916年生まれのスウェーデン人です。陶器メーカーのグスタフスベリで長く働いて、食器からテキスタイル、絵本、包装紙まで、生活まわりのものをなんでもデザインしていた。
もともとは音楽家になるつもりだったそうです。10代の事故で道が変わった。21歳のとき、倒産寸前のグスタフスベリに飛び込んで「雇ってくれれば工場に仕事を作ってみせる」と言い切った。そういう人です。
1959年に日本を訪れ、西武百貨店の包装紙をデザインしています。瀬戸や信楽も歩き、日本の陶芸に強い関心を持ちました。そのとき若い芸術家たちにこう語っています。「古いとか新しいとかでなく、真実であるかどうかがデザイナーにとって最も重要だ」と。
グスタフスベリでは、リサ・ラーソンの才能を見抜いて大学卒業と同時にスカウトしたのもリンドベリです。23歳のリサを工場に呼んだ。そういう目利きでもありました。
工場では、リンドベリが来るとわかると皆が大事な作品を隠したそうです。そそっかしくて、うっかり壊すことがあったから。
将来の妻グンネルに初めて会ったとき、美しさに見とれて自転車を制御できなくなり、白樺の木に激突した。後に「あの事故を一度も後悔したことがない」と語っています。ちなみにBersaの白樺の葉は、彼が育ったウメオという街の木です。「白樺の街」と呼ばれる場所で育った人が、白樺の葉の柄を作った。
そういう人が、この布を作りました。
音楽家になるはずだった人が、倒産寸前の工場に飛び込んで、白樺の木に激突して、日本を旅して、リサ・ラーソンを見つけて、1982年にイタリアで亡くなった。その人が生涯かけて作った柄が、今もこうして布になっています。
柄の向こうに人の気配がする、というのはそういうことだと思っています。
サイズや仕立てのことは、遠慮なく聞いてください。