Vihkiruusu / Marimekko 1964

ヴィヒキルースという柄の話。

フィンランドでは、結婚式は夏に開かれます。6月と7月に集中していて、多い人だと一夏に5件はしごすることもあるそうです。そういう国で「婚礼のバラ」と名付けられた柄が、1964年に生まれました。

最初に見たとき、これはいいな、と思いました。甘くない、力強い、どこか鋭いバラ。バラらしくない、と思う人もいるかもしれない。でもそこがいい。

ウニッコと同じ日に生まれた

1964年、「花柄は作らない」と言う創業者アルミ・ラティアへの抗議として、デザイナーのマイヤ・イソラは花柄を8枚描きました。ウニッコはその1枚です。ヴィヒキルースも、その8枚のうちの1枚でした。

ウニッコとヴィヒキルースは、同じ日、同じ抗議から生まれた姉妹柄です。どちらもマイヤ・イソラが描いた。でも、まったく違う花になりました。ウニッコが世界で一番有名な花柄になった一方で、ヴィヒキルースは「婚礼のバラ」として静かに愛され続けています。

残りの6枚は、今もあまり知られていません。8枚のうちの2枚が、こんなにも違う運命をたどった、というのが面白いと思っています。

面の花と、線の花

同じマイヤ・イソラが、同じ年に描いた。なのにウニッコとヴィヒキルースは、まったく異なる描き方をしています。

Unikko

面の花

大きな花びらを色の面で塗りつぶした。シンプルで大胆。遠くからでも柄とわかる。

Vihkiruusu

線の花

バラを細い線で描いた。近づくほど細部が見えてくる。じっくり見る柄です。

甘くない、どこか鋭い印象は、この線の描き方から来ていると思います。花びらが細い線で描かれているからこそ、やわらかくなりすぎない。それがこの柄の毒気です。

同じデザイナーがこれだけ違うものを同じ年に描いた、というのが、マイヤ・イソラという人の面白さだと思っています。

ウニッコ生地の上に置いたマリメッコのデザイン画集。ページにはヴィヒキルースが掲載されている。
背景のウニッコ(面)と、本の中のヴィヒキルース(線)。同じ1964年に生まれた2枚。
出典:『Maija Isola』(Maija Isola Foundation / Designmuseo Helsinki)

バラだと気づかれない

実店舗でよく言われることがあります。「これってバラだったんですね」と。

遠目には、抽象的な繰り返し模様に見えます。近づいて、じっくり見て、細い線で描かれた花びらに気づく。そのとき初めて「花だったのか」とわかる方が多いです。

そこから話がつながります。「ヴィヒキルースはフィンランド語で婚礼のバラという意味なんですよ」と伝えると、みなさん少し驚かれます。遠目には何の花かわからなかった柄が、実は婚礼の花だった、と。

知れば知るほど好きになる柄というのが、世の中にはあります。ヴィヒキルースはそういう柄だと思っています。結婚祝いに選ばれることが多いのも、そのギャップを知った人が贈りたくなるからかもしれません。

ヴィヒキルース 4色の生地比較

現在の取り扱いカラー

どの色も、くすんだやわらかいトーンです。鮮やかすぎない。それがヴィヒキルースの良さで、ウニッコとはまた違う落ち着きがあります。結婚祝いや記念日のギフトに選ばれやすいのも、このトーンが理由だと思っています。

縫わなくても、贈れる

贈り物に選ばれることが多い柄ですが、自分の部屋に使っても当然いい。クッションカバーやのれん、ファブリックパネルに向いています。

縫わなくても使えます。額に入れるだけでも、窓にかけるだけでも雰囲気が出ます。そのまま包んで贈ることもできます。生地は10cmから購入できます(¥880〜)。

フィンランドの夏に、婚礼の花として名付けられた柄。遠目にはバラと気づかれない、でも知れば知るほど好きになる。ウニッコと同じ日に生まれて、まったく違う道をたどってきた柄です。

ヴィヒキルース生地 一覧を見る

10cmから購入できます(¥880〜)