Unikko / Marimekko 1964

ウニッコという柄の話。

マリメッコ ウニッコ生地 色展開
ウニッコの生地。色ちがいを並べました。

ウニッコ、というのはフィンランド語でケシの花のことです。なのになぜか、最初に見たとき「これはケシの花だ」とすぐわかる人は少ない。大きくて、力強くて、どこかよくわからない植物に見える。それでも、なんかひかれる。理由はうまく言えない。そういう柄です。

この柄には「本来生まれるはずのなかった花」という話があります。1964年のことで、そこから60年以上たった今も世界中の部屋に咲き続けている。知れば知るほど気になって、気づいたら手元に置きたくなっている。それがウニッコだと思っています。

「花柄は作らない」と言われていた

1964年のことです。マリメッコの創業者アルミ・ラティアは「花柄は作らない」という方針を持っていました。それへの抗議として、デザイナーのマイヤ・イソラは花柄を描きました。1枚ではなく、8枚。どれも力強く、誰も無視できないものばかりでした。アルミ・ラティアはその全部を受け入れました。

ウニッコはその8枚のうちの1枚です。大きなケシの花を画面いっぱいに、ただ咲かせた。それだけの柄です。

「作るな」と言われた花が、マリメッコの顔になった。そういう話は、なんだか元気が出ます。それに、ウニッコが生まれた年に、他にも7枚の花柄が生まれているという事実も気になります。その7枚は、あまり知られていません。

旅するデザイナー、マイヤ・イソラ

ウニッコをデザインしたマイヤ・イソラ(1927–2001)は、38年間でマリメッコに約500のデザインを提供したデザイナーです。19歳で娘を産んだのをきっかけに美術学校に入り、在学中にアルミ・ラティアに見出されました。

1961年のある日、カーテンから差し込む光が床に影を作るのを見た。マイヤ・イソラはその場ではさみと色紙を取り出し、その影の形を切り抜き始めた。それが「ロッキ(Lokki)」という柄になりました。

描き方も、少し変わっていました。床に座って、大きな筆で、大きな紙に。夜に描くことが多かったそうです。

こういう人が、3年後にウニッコを描きました。日常の何気ない瞬間に柄の種があって、それを見逃さない。旅を原動力にして、年に一度は世界各地に長期滞在しながらデザインを生み出し続けた。500枚という数は、そういう暮らし方の結果です。

そしてもう一つ、気になる話があります。マイヤの娘クリスティーナ、その娘エンマも、代々マリメッコのデザイナーになりました。ウニッコは今、三世代にわたって受け継がれている柄でもあります。

マリメッコ ウニッコ生地 ピンク×ブラウン

同じ花なのに、まるで別の柄に見える

ウニッコには3つのサイズがあります。大柄・中柄・小柄。同じケシの花なのに、大きさが変わるだけで部屋での印象がまったく違う。「自分に合うのはどれだろう」と考えるのも、この柄の楽しみの一つです。

名前がややこしいので、先に書いておきます。中柄が「ピエニウニッコ」、小柄が「ミニウニッコ」です。ピエニはフィンランド語で「小さい」、ミニは英語のミニ。どちらも小さいという意味なのに、ピエニのほうが大きい。ここはお店でもよく聞かれます。

色も増え続けています。1964年からいままでに、ウニッコの配色は100種類を超えました。

ウニッコ

Unikko ─ 大柄

オリジナルのウニッコです。カーテンとして窓いっぱいに下げると、外からも分かります。どんな人が住んでいるか、柄だけで伝わる気がする。そのくらい存在感があります。

最初は「うちには強すぎるかな」と思うかもしれない。でも置いてみると、案外しっくりきます。個人的に、ウニッコの赤が一番好きです。マイヤ・イソラも、赤を好んで使った色の一つだったそうです。

マリメッコ ウニッコ 大柄 生地
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ピエニウニッコ

Pieni Unikko ─ 中柄

ウニッコより一回り小さい花です。クッションカバーに仕立てて毎日目にするうちに、ある日ふと「この柄、やっぱりいいな」とあらためて思う瞬間が来ます。じわじわ好きになっていく、そういうサイズ感です。

カーテンにも、クッションにも、のれんにも使いやすい。一番バランスがいいサイズだと思っています。

マリメッコ ピエニウニッコ 中柄 生地
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ミニウニッコ

Mini Unikko ─ 小柄

同じウニッコの花が、小さくなるだけで印象がまるで変わります。ポーチを仕立てるとき、どこを切り取るか考えながらはさみを入れる。その作業が楽しい、という方が多いです。どこを切っても柄が顔を出す、というのがウニッコの面白さです。

ウニッコが好きで、でも小物に使いたい。ハンドメイドの最初の一枚に、よく選ばれます。

マリメッコ ミニウニッコ 小柄 生地
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ヘルシンキの工場で、1色ずつ刷る

How it is printed

ウニッコは、ヘルシンキにあるマリメッコ自社の工場で刷られています。

刷り方はふたつあります。円筒の版をころがしながら生地を送っていく方法と、平らな版を生地の上に置いて色をのせる方法。どちらも、色は1色ずつ、順番に重ねていきます。

マリメッコ展に展示されていた、生地を刷るための円筒の版。手前の版にウニッコの花が入っている
京都のマリメッコ展で見た、生地を刷るための版です。円筒に柄が入っています。手前の花は、ウニッコの仲間。

刷り終わった生地は、100度の蒸気にあてて色を止めて、洗って、乾かす。一枚の布になるまでに、それだけの手が入っています。

1色ずつ重ねるので、色と色の重なりがほんのわずかにずれることがあります。均一でないところを、そのまま残している。マリメッコ展では、この揺らぎを「完全なる不完全さ」と呼んで紹介していました。

空を飛んだり、電車になったり

Unikko goes out

ウニッコは、思いがけないところにも出てきます。

フィンエアーの飛行機は、青いウニッコをまとって長距離の空を飛んでいます。2012年からのことで、いまも現役です。

同じ2012年には、ウニッコ柄の熱気球がロサンゼルスとヘルシンキの空に上がりました。2020年と2021年には、バンコクの高架電車が、外も中もウニッコになっています。こちらは期間限定で、いまはもう走っていません。

2024年、ウニッコは60歳になりました。その年のはじめ、ヘルシンキの光の祭典で、アテネウム美術館の壁いっぱいにウニッコの光が映されました。

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10cmから購入できます

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1964年に「作るな」と言われた花が、60年以上たった今も世界中の部屋にある。デザイナーの娘も、孫も、同じブランドでデザイナーになった。ウニッコという柄には、そういう時間が積み重なっています。

部屋に置いてしばらくすると、「これがないと物足りない」という気持ちになってくる。そういう柄だと思っています。

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