borås cotton / sweden

ボロスという名前は、
町からきています

スウェーデン南西部に、ボロス(Borås)という町があります。19世紀からの布の町です。糸を紡ぎ、布を織り、染める。織りを教える学校もありました。

その町の名前を、そのまま名乗っている布です。

1944年のボロス。川ぞいに建つボロス・ヴェーヴェリの工場
1944年のボロス。川ぞいの大きな建物がボロス・ヴェーヴェリです。写真=Fredrik Bruno/スウェーデン国立文化財庁(パブリックドメイン)

町ができる前から、布は売られていた

ボロスは昔から「クナッレスターデン」と呼ばれてきました。行商人の町、という意味です。

16世紀ごろ、このあたりの農家をまわって、布や手仕事の品を売り歩く人たちがいました。クナッラルと呼ばれた行商人です。

1621年、国王グスタフ2世アドルフが、この場所に町の特権を与えます。行商をきちんとした形にして、税を取れるようにするためでした。

町ができて、そこに布が来たのではありません。布の商いのほうが先にあって、あとから町ができています。布に町の名前が付いているのも、順番を考えると自然なことかもしれません。

1870年代、この町で織りはじめた

はじめは農家の家での手仕事でした。それが19世紀の半ばに、工場の町に変わっていきます。1870年代、この町で布を織りはじめた会社があります。社名はボロス・ヴェーヴェリ(Borås Wäfveri)。1950年代の終わりまで、作っていたのはほとんど服地でした。カーテンやクッションの布に移ったのは1960年代からです。

そのあと会社の形は何度か変わりましたが、布はいまも同じ町の名前で作られています。引き出しにしまわれていた昔の柄が、そのまま刷り直されることもあります。

会社が掲げている言葉は「Art on fabric」。布の上の絵、という意味です。

1871年のボロスの織物工場(版画)
1871年のボロスの織物工場。手前の建物から煙突が立っています。『Sveriges industriella etablissementer』(1879年)より・パブリックドメイン

町には、布の博物館があります

テキスタイル博物館(Textilmuseet)。1972年に、使われなくなった紡績工場の建物ではじまりました。集めているのは1870年代から今日までのスウェーデンの布で、紡ぐところから編むところまで、機械がそのまま置いてあります。

建物も機械も、そうやって残ります。けれど、その機械にかける柄を描いたのは、そのときどきの人でした。ここからは、うちにある柄を描いた人たちの話です。

線だけで描かれた、鳥と猫

ボロスの生地では、鳥の柄と猫の柄がよく出ています。ツイッターズと、チャーリー。どちらもリサ・ラーソン(1931〜2024)が描いています。

陶器の人、という印象のほうが強いかもしれません。1954年、ヨーテボリで美術を学んでいたところを、スティグ・リンドベリが見つけました。

リサ・ラーソン
リサ・ラーソン(写真=Borås Cotton 公式サイト)

2008年からは、娘のヨハンナと組んでいました。ヨハンナはグラフィックデザイナー。母親の古いスケッチを引っぱり出して、布の柄に描き直す仕事です。

チャーリーの猫は、もともと子どものおもちゃのための絵でした。四角におさまる形だったので、そのまま並べてみた。すると、目の錯覚みたいな見え方になったそうです。

ツイッターズは、古い鉛筆のスケッチが元。色をつけたものも何度か試して、最後は一色刷りに決めました。

色も影も使わず、線だけ。陶器で知られた人が布の上でやったのは、それだけです。

ボロス チャーリー No.900 黒 ─ リサ・ラーソンが線だけで描いた猫の生地
チャーリー No.900(黒)。猫が90度ずつ回っていて、4匹でひとつの四角になります。

最後の柄が、日本で長く使われている

「マラガ」を描いたのは、モナ・ビヨルク(1932〜2001)です。

モナ・ビヨルク
モナ・ビヨルク(写真=Borås Cotton 公式サイト)

ボロスの繊維学校を出た人です。1953年、ノルショーピングの紡績会社で、はじめて柄のデザイナーになりました。1970年に、その会社がボロス・ヴェーヴェリと一緒になります。そこからは工房を預かる人として、最後までこの会社にいました。

マラガは、亡くなった2001年に出た柄です。最後の一枚が、いまも日本の部屋にあります。

ボロスの紹介文には「日本のアニメ映画にも出てくる」と書かれているのですが、作品名までは書かれていません。うちにも分かっていません。ご存じの方がいたら教えてください。

ボロス マラガ 赤 ─ 壺の柄を一枚に広げたところ
マラガ No.24(赤)。柄のくり返しは約63cm、壺ひとつはこのくらいの大きさです。写真=Borås Cotton 公式サイト

2002年に生まれた、二枚

バードランドを描いたのは、アン=カトリーン・シグリッド・ストールベリです。1988年に、この町の繊維大学を出ました。

しばらくボロスでデザイナーとして働いて、そのあと独立しています。壁紙のメーカーや、エーケルンド、アルメダールス、イケアの仕事もしている人です。

バードランドと、フォグリングストゥール(Fägring Stor)。この二枚は、どちらも2002年に生まれました。同じ人が同じ年に描いた柄が、20年たったいまも、この会社の顔になっています。

近ごろはイタリア・カプリ島のヴィラ・サン・ミケーレに滞在して、そこで描いた柄もあるそうです。

ボロス ツイッターズ 青 ─ 布を一枚垂らしたところ
ツイッターズを一枚垂らしたところ。写真=Borås Cotton 公式サイト

ツイッターズ

Twitters ─ Lisa Larson ─ 5 colors

線だけで描かれた鳥が、布いっぱいに集まっています。ふくろう、頭に飾りのある鳥、丸い小鳥。一羽ずつ違うので、見ていて飽きません。

鳥が好きな方には、まっすぐ届く柄です。お店でも、近づいて見た方が「あ、ふくろうがいる」と気づいて、そこで笑ってくださいます。

綿95%・麻5%のコットンリネン。生地巾 約140cm・柄のくり返し 約63cm。

チャーリー

Charlie ─ Lisa Larson ─ 3 colors

こちらもリサ・ラーソンの猫です。隣り合った猫が90度ずつ回っていて、4匹でひとつの四角になります。

綿95%・麻5%のコットンリネン。生地巾 約140cm。

マラガ

Malaga ─ Mona Björk ─ 5 colors

曲線が何本も重なって、壺のかたちが浮かびます。近くで見ると壺、離れて見ると幾何学の柄。色の重なりがきれいに出ている一枚です。

綿100%。生地巾 約141cm・柄のくり返し 約63cm。

ボロス バードランド No.0 濃紺 ─ 青と赤の小鳥がつる草とともに描かれた生地

バードランド

Birdland ─ Ann-Cathrine Sigrid Ståhlberg ─ 2 colors

青と赤の小鳥が、流れる川やつる草と一緒に描かれています。一羽が大きいので、どこを切り取るかで表情が変わります。

お店でいちばん「見たことある」と言われるのが、この柄です。どこで見たかは思い出せないけれど、知っている。そういう顔をされます。

額に入れて、絵のように飾る方もいます。綿100%。生地巾 約150cm・柄のくり返し 約62cm。

そのほかの柄

Other patterns ─ 3 items

フォグリングストゥールは、バードランドと同じアン=カトリーン・シグリッド・ストールベリ。上に書いた、2002年の二枚のうちのもう一枚です。

グロンスカを描いたインゲラ・バックマンは、アクリルと水彩の人です。草花や生きものを写生していて、本物そっくりの花の絵で知られています。

エングスブロンムルは、スウェーデン語で「野原の花」。描いたレーナ・ボイエも、野の花を水彩で細かく写生していた人です。1970年代に、ウィリアム・モリスたちの仕事に刺激されて、その水彩から柄を作りはじめました。色と柄のくり返しの中に、自分の仕事があると気づいたのだそうです。「スウェーデンの冬が長いから、夏が来たときに目が敏感になるのかもしれません」と話しています。

生地巾は約140cm。柄のくり返しはグロンスカが約15cm、エングスブロンムルが約28cm、フォグリングストゥールが約59cmです。

柄や色は、画面によって実物と違って見えることがあります。

飾る、かける、敷く

ボロスの布は、しっかりしています。カーテンやクッションカバーはもちろん、お店では「座布団にも使えますよ」とお話しすることが多い生地です。

いちばん手軽なのは、額や木枠に張ること。柄のくり返しが約60cmある柄が多いので、四角に切り取ると絵のようにおさまります。

生地は10cm単位でお切りします。目安はこのくらいです。

  • 額・木枠に張る(W90×H40)… 50cm / 4,675円
  • クッションカバー45cm角・表裏 … 60cm / 5,610円
  • 小窓のカーテン(丈90)… 120cm / 11,220円
  • のれん(丈120・縫い代込み)… 160cm / 14,960円

10cm 935円の柄(ツイッターズ・チャーリー・マラガ・バードランド)で計算した、税込・縫い代を含んだ目安です。エングスブロンムルは660円、グロンスカは748円、フォグリングストゥールは880円。仕上がりのサイズが決まっていれば、必要な長さをお調べします。お電話(088-642-5828)でも承ります。

150年ちかく、同じ町の名前で布を作ってきた会社です。服から家の布に変わって、一度静かになって、また戻ってきました。

そのあいだに、陶器の人が線で猫を描いて、工房を預かっていた人が最後に壺の柄を残しました。町の名前だけが、ずっと同じです。

※ブランドの沿革とデザイナーの経歴は Borås Cotton 公式サイト(About us/Designers)より。町の成り立ちは、ボロス市の案内(boras.com)とテキスタイル博物館の資料より。日本語は当店の訳です。

ボロスの生地をぜんぶ見る

生地は10cm単位・660円〜935円(税込)。カーテンやクッションのご相談も承ります。

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