マリメッコの生地がずらりと並ぶ店で、たった一枚だけ、建築家がデザインした布があります。それが、アルテックの「シエナ」。白と黒の、静かな縞の柄です。
正直に言うと、はじめは地味な幾何学模様だと思っていました。ところが名前の由来を知ってから、急に好きになりました。この白黒が、イタリアのある大聖堂に見えてくるんです。今日はその話をさせてください。
アアルトが愛したイタリアの街に、シエナがあります。その中心に建つ大聖堂は、白と黒の大理石を横に積み上げた、しましまの建物です。柱も、壁も、床まで白黒の縞。まるで一枚の布のような教会です。
その縞模様に心を奪われて生まれたのが、この柄だと言われています。だからこの"白黒"は、シエナのいちばん始まりの色。建築家が石に見た美しさが、そのまま布のリズムになっています。
アルヴァ・アアルトは、建物や、あの波打つガラスの花瓶、曲げ木のスツールで知られる人です。仲間とアルテックという会社を立ち上げ、椅子から照明、そして布まで、暮らしのすみずみをデザインしました。
だからシエナは、ただの模様ではありません。建築家が引いた一本一本の線です。手描きらしい、少しかすれた黒。定規で引いたようでいて、どこか手のぬくもりが残る縞。そこがこの柄の気持ちいいところだと思っています。
綿100%ですが、くたっとせず、しっかりとハリがあります。1枚でカーテンにしても透けにくく、光を通すとリズミカルな縞がやわらかく浮かびます。
裏から見ても柄がきれいに出るので、のれんや間仕切りのカーテンにもぴったり。白黒の明るい色合いなので、パントリーや食器棚まわりに掛けても、気持ちよく片づいて見えます。
クッションカバーやファブリックパネルにして飾れば、それだけで壁がきりっと引き締まります。額に入れて掛けるだけでも、絵のように様になります。生地は10cmから、必要なぶんだけ買えます。
名前の由来を知っていると、白と黒の縞が、イタリアの大聖堂に見えてくる。そういう一枚です。
フィンランドの建築家が、イタリアの大聖堂に見た白と黒。70年前にデザインされた柄が、今もそのまま布になって、徳島の店に置いてある。そう思うと、この静かな縞が少し違って見えてきませんか。
10cmから購入できます(¥638〜/10cm・税込)